マーケティングの仕事は楽しい
そろそろ春、新入社員、そして就職活動本格化のシーズンですね。その中にもマーケティング部門に配属が決まっていたり、マーケティング部門に配属されることを目指す若者は多いのではないでしょうか。まず、マーケティングの仕事、楽しいですよ。では、マーケターとしての好スタートを切るためにはどうしたら良いのでしょうか。
マーケティングとは
人事部門から新人研修を依頼された時などにまず話すことにしてるのは、そもそもマーケティングって何?ということです。これには様々な定義があり、唯一の正解が存在するわけではないのですが、私の企業でのマーケター経験(1989-2025年)に基づく考えを共有します。
私は、マーケティングとは、製品が売れる”仕掛け”を作ること、だと定義しています。(仕組みではなく仕掛けです。)
広義のマーケティングは、コーポレート部門(人事、法務など)や製造・資材部門を除く、商品開発、商品企画、販売企画、販売、広告宣伝、広報、カスタマーサポート、セールスを含む広範囲の事業を指す場合があります。例えば、キヤノン・マーケティングはこのケースですね。一方で、最も狭義のマーケティングは、新製品のキャンペーンを設計するチームを指します。この場合は大抵、マーケティング課などの名称が付いています。商品企画をマーケティングに含めるか含めないかは企業によりますが、車やテレビなどの開発が大掛かりなものは別部門に切り分け、日用製品の場合はマーケティングに含める事が多いように見受けます。
さて、先程”仕掛け”と言いましたが、現在のマーケティングで考えられる売るための仕掛けの主なものは、販売チャンネル(売り場)の開拓、SNSの活用、オンライン広告、CRMなどが代表的です。一昔前は主役はテレビCMでした。また、何故”仕組み”を排除したかというと、仕組みで連想されるマーケティングに使うITシステム、例えばセールスフォースなどは、マーケターの他にそのための専門職があるからです。
ブランディングとマーケティング
尚、マーケティングと似ていて、重複もする仕事にブランディングというものがあります。ブランディングとはその企業な持つ代表的な商標の価値を高める活動です。例えば、LVMHは、ルイ・ブィトン、ティファニーなどを擁する巨大なブランドコングロマリットです。ブランデイングについても、詳細を別記事化したいと思いますが、私はブランデイング=企業活動そのものだと考えています。したがって、例えば人事部門にもやるべきブランデイングがあり、営業部門にもブランデイングの仕事があり、そして当然マーケティング部門にもやるべきブランデイングが、それぞれあるのだと理解しておいてください。
マーケティングの基礎知識
入社までにまだ時間がある、面接までに時間がある方、一番良い準備は、必要なマーケティング用語とこの意味をしっかり理解しておくことです。そのためには、YouTube動画も効率的で悪くはないですが、やはり名著を読み込むことをお勧めします。その際、コンビニでそれ専用のノートを一冊買って、自分用の用語集を作ると良いです。それを最終的にデジタル化しても良いですが、最初はノートがお勧めです。書き足し、修正が柔軟だからです。
以下がオススメの著者または本です。
1. ブランドを学問にした元祖David.A.Arkerの著書
2. マーケティング理論の神コトラーの著書
「マーケティング5.0」など
3.日本人マーケターの代表 魚谷雅彦著
「こころを動かすマーケティング」
4.マーケティング戦略のあり方
「P&G式勝つために戦う戦略」
また、このWEB内の別の記事にしましたが、基本的なマーケティングのフレームワーク(4p, 3C, pros and cons, PPMなど)については、押さえておくべきだと思います。
マーケターの日常
これからマーケティング部門に入る方にはマーケターがどんな一日を過ごしているのか、想像がつかないと思います。一言で言うと超多忙です。マーケターはやるる事が本当に多いからです。マーケターの仕事は基本的にキャンペーンベースになりますが、すでに終わったキャンペーン、今走っているキャンペーン、これから立ち上げるキャンペーンの全ての仕事を同時にこなさなければなりません。
◼︎終わったキャンペーン
①マーケティング会議で使うキャンペーンレポートの準備
②①に関する代理店とのやり取り
◼︎今走っているキャンペーン
①前日のセールスデータの確認。問題があれば、原因分先と対策をまとめたレポートを作成。
②SNSや広告のパフォーマンスをチェック。問題があれば、原因分先と対策をまとめたレポートを作成。
◼︎次のキャンペーン
①トレンド分析、他社分析、顧客分析
②新製品の概要をセールスや代理店に伝える資料のまとめ
③キャンペーン骨子の立案
④①〜④のチームディスカッション
◼︎その他雑務
①勤怠管理
②経費精算
③請求書処理
④委員の仕事(衛生委員など)
どうですか。多忙に見えますよね。だからこそ、忙殺されがちなマーケターの時間の確保はとても重要な課題です。(別記事参照)
マーケターに求められる人物像
業界や企業によって人物像は様々だと思いますが、私が考える理想のマーケター像を共有します。アイデアマンが求められると言うものと思いがちですが、意外とそういう人だけではマーケティングチームは成り立ちません。
①やり抜くタフさ
マーケティングは上流から下流へのリレーの業務なので、途中で投げ出すことだけは許されません。一つのキャンペーンの企画立案からレビューまで責任を持ってやり切る力が何よりも大切です
②ひとを巻き込む力コミュ力
マーケティングは隣の部署や代理店とのチームワークです。一人でやり切れる仕事ではありません。また、細部が大切な仕事は関わる人達のモチベーションによって成果が大きく左右されるものです。チームのメンバーそれぞれに気を配り脱落者が居ないよう必要なコミュニケーションを取る力が求められます
③プレゼン力
あらゆる仕事に求められる事ですが、特にマーケターは大小のプレゼンの場面が多いです。スティーブジョブズのようなプレゼンやTEDのような天才的なプレゼンがいつも必要なわけではありません。また、プレゼンする相手は多忙な人ばかりです。従ってマーケターのプレゼン力=メッセージを端的に伝える力と理解すると良いでしょう。その上で熱のこもったプレゼンが要求される場面ではそれを加える、和やかさが必要な場面では笑いの要素を加えるなどの応用力があると尚良いです。
④ロジカルシンキング
マーケターは大勢のメンバーの意見をまとめて一つの企画にしたり、企画を分かりやすく説明したりしなければなりません。つまり誰もが納得するように話をしていくということです。このためには、理にかなったかんかえかた、つまりロジカルシンキングが有効です。ロジカルシンキングについては、別の記事で詳細化したいと思いますが、要するに因果関係をダブり漏れなく整理する力です。このスキルは、一度身につけると広範囲で活用可能です。
まとめ
いかがでしょうか。マーケティングは、とても楽しい仕事です。マーケターになって成功するためには、準備も必要です。ここに書いたことは、あくまで私の経験に基づく考えですので、他にも色々な見方があると思います。広く異見を収集されることをお勧めします。一つの意見として、これからスタートを切るマーケターの方のお役に立てると嬉しいです。