ジャズのお店のチャージ

ジャズ全般

 ニューヨークに行く前の2022年ごろまでは、東京のジャズのお店のミュージックチャージは高いな、と何となく感じてました。高いチャージ設定で、客席がガラガラのジャズの店を何度も見て来ました。これは、個別の店やミュージシャンによることではなくて、日本のジャズ市場自体が、需要と供給がバランスしてないんだな、と思っていました。だから、自分がライブ演奏をやる時も、友人や知り合いが主なお客様なので、出来るだけチャージを抑えたり、チップ制でやるようにして客席を埋めるようにしていました。

 そして、2023年にニューヨークに行って、ニューヨークのジャズ・クラブを一回りしてみると、チャージが値上がりしたなぁ、と感じました。昔は10ドルで入れた記憶のあるSmallsもアーティストによっては、35ドル(約5,000円)とか。ビレッジ・バンガードでは、大体のライブが50ドル(約7500円)。SMOKEのようなダイニングを前提にしたクラブだと会計はチップを入れて100ドル(約1500円)は超えます。でも、いつ行っても大体のジャズクラブは満席なんですよね。需要と供給がバランスしてるんですね。まあ、他の物価も高いですからね。

 2025年、再び日本に帰って来て、不思議とやっぱり日本のジャズのミュージック・チャージは高いな、と感じています。なかなか理論的に説明が難しいのですが、暫く東京で食べたり飲んだりして生活に慣れてジャズクラブの値段を見ると、何故か改めてそう感じました。東京は他のものがまだ米国に比べて安いというのはありますね。3,000円も出せばビール一杯と高級な定食を食べて幸せな夜になります。僕はカラオケには行かないですが、もし行けば3,000円で2時間くらいは楽しく飲んで歌えるでしょう。決してこれらとジャズを同等に比べてはいけませんが、もっと幸せな二時間をジャズ・クラブで提供できれば、それで初めてジャズの需給バランスが取れるんだろうな、と思います。しかし、久しぶりに行った昼のピットイン、1,300円のチャージで缶ビールがつきました。これはちょっと安すぎませんか?笑

 マーケティングには4P(Prodect, Price, Place, Promotion)という基本要素がありますが、その中の一つであるPriceに当たることなのでチャージ設定は重要ですね。しかしその背景には、ミュージシャンのギャラ、お店の維持コストなどの原価に当たる部分があるので、単純に価格が高い安いの議論だけでは足りません。市場の需要と原価を見合わせながら適正な設定をしていく必要があります。ニューヨークの設定はインフレと人件費高騰のその結果、現在のチャージ設定で満席なので正解なんだと思います。東京はどうでしょうか。ジャズクラブを回って確かめてみないといけませんね。

 少なくとも自分が東京で演奏する時は、できる限り適正価格設定を心掛けるようにしたいと思います。お店のご都合もありますから、しっかり相談の上で。そして、良い演奏が出来るようにしっかりと準備をして、本番ではお客様と向き合って精一杯良い音楽を奏でます。

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