Issueは明確か

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Issueとは

Issue イシューという言葉を聞いたことがあると思います。これは、マーケティングにおいてとても重要な言葉です。辞書でIssue引くと、”問題”とあります。勿論、言語学上この訳は正しいのですが、私はマーケティングにおいては、Issue=戦略上の重要課題と理解しています。つまり、課題はたくさんあれども、その中でも戦略を実行するために優先的に取り組むべき課題ということです。音楽にIssueはあるでしょうか。私は、ジャズにおける冒頭と最後に現れる短いメロディ、つまりテーマ(英語ではhead)こそがIssueあたると考えています。それでは、Issueについて考察していきましょう。

Issueの設定

Issueは在るものではなく自ら設定するものだと考えています。Issueを設定することは、マーケティングのコア業務であると言っても過言ではありません。何が重要課題かを分からない状態で闇雲にアクションを打っても成功確率は上がりません。このケースは多く見られます。例えば、新製品のキャンペーンの成果が上手く出ない。これは結果としての問題ではありますが、この段階ではまだIssueにはなっていません。この段階では打ち手が無数にあって、いくらリソースがあっても打ち手に足りません。Issueは製品自体の競争力にあるかもしれませんし、キャンペーンの投下金額不足にあるかも知れません、あるいは、キャンペーンのキーメッセージがユーザーの心に刺さっていない可能性もあります。単に現象を見るのではなくその現象を何段階も掘り下げて核心を突き止める必要があります。本来のIssueは、さらに問題を深く突き詰めていき、例えば、”マーケティングチームにカスタマー・ドリブンなキャンペーン企画力をつける”、というものです。上手く特定されたIssueは、戦略に直結していて取り組み可能かつ解決困難であるものです。そもそも簡単に解決できるものはIssueではありませんからね。

ジャズにおけるissueの設定

ジャズにおけるissueの設定は、作曲または既存曲(ジャズスタンダード)の選曲がこれにあたると考えます。ジャズの一曲は大体1分から2分と短いです。その中でいかに適切な問いかけをするかで、その後に続くアドリブ(即興演奏)の質が左右されます。その問いかけとは、テーマの持つカラー、メロディとコード(和音)進行の特異性、メロディとリズムの関係性の特徴です。それらのいずれかが即興演奏の中で取り上げられて発展していくわけです。従って、自分が大切だと思うテーマを作曲または選曲し、それをしっかりと演奏することはissueのステイトにあたる最も重要な音楽行為だと言えます。

Issueを議論する、それ以外はやらない

Issueが特定できれば、50%は解決したも同然です。しかし、それはあくまでIssueにリソースを投下できた場合の話です。せっかくIssueを設定したのに、他にもこんなことができる、あれもやらなければとto doリストにIssueが埋もれてしまいがちです。リーダーがこの事態を回避してチームのリソースをIssueに集約しなければなりません。Issueをしっかり議論する、それ以外はやらない、という覚悟が必要です。そうすれば自ずとIssueに対する打ち手は議論を通して炙り出されるものです。その結果、to doリストの行数もうんと減っていることと思います。

こんな使い方もできる

 マーケティング会議などで議論が行き詰まってシーンとした時に、”一体、今のIssueはなんなんでしょうか?"と発言してみてください。あなたの役職上の立場(部長、課長、係長など)が低ければ低いほど効果的です。皆、この一言ではっと我に帰って議論が良い軌道に乗ることと思います。時々御前が言うなと嗜められることもあるでしょうが、間違いなく一目は置かれますよ笑。

 ジャズの演奏においては、どれだけアドリブが発展して異空間に行き着いたとしても演奏の最後に必ずテーマに戻ります。これは、複数のソリストによるアドリブつまり議論が、issueにしたから帰結していることの確認行為だと私は考えています。だからこそ、アドリブにおいては相当な自由が担保されているとも言えるわけです。

まとめ

いかがだったでしょうか。とかく忙殺されがちなマーケターに取って、Issueの設定と議論は最も時間を割くべきコア業務であることがお分かり頂けたかと思います。しかし、これは簡単なことではありません。強いリーダーシップとチームの知の結集が必要です。

民主主義の音楽であるジャズにおいては、参加者の共通のissueは、テーマ(head)によって設定されてアドリブを通して議論が発展しテーマに帰着して演奏が終わります。演奏者もオーディエンスもついついアドリブの理論や技術に目が行きがちですが、ジャズにおいてもテーマが50%の重要性を持つと思うのです。

さあ、Issueから始めましょう。

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