ジャズと政治

ジャズ全般

最近、日本のジャズミュージシャンが政策についてSNSで発信するのを以前よりも頻繁に見かけるようになりました。

音楽とポリシーは深いところで結びついていて、その根っこにあるものが音で表現されれば音楽、筆で表現されれば絵画、言葉で表現されれば文学や論文、法律で表現されれば政策になるわけです。

ジャズの歴史では、例えばマイルスデイビスはずっと黒人差別に対する怒りを音で表現して来た人だ思ってます。時々インタビューで白人になりたいなんて言っていましたが、それは彼流の皮肉なんでしょうね。

一方、1960年以降、ビートルズをはじめとするロックがその役割を担って来ました。love and peace, ヒッピー、無政府主義など。ジャズよりもロックの方が社会的な音楽となって行きました。

最近のジャズが全盛期ほど注目されないのは、根っこにあるものが薄くなって来ているからでは無いかと思います。スタイルや技術などの表現手段は踏襲され発展し続けているのですが、肝心の表現の源が薄くなって来たので民衆に響く力が弱まって来たんでは無いかと。例えば、今ジャズで最も成功しているウイントンマルサリスは、政治的な発言をしないですよね。彼はリンカンセンターという大きな組織を背負っていて、政治的な発言がスポンサーを失うことになりかねないというリスクを承知しているからだと思います。音楽がスポンサー依存型になればなるほど社会メッセージが薄れていき民衆から離れていくという傾向があるように思います。

従ってミュージシャンが政策に関わる発信をするのは元々は自然で理に叶った行為と言えます。

さて、今の日本では、外国人問題が取り沙汰されて注目を集めています。ジャズミュージシャンからもそのことを引用した発言がSNS上でなされてます。

この問題にはいくつかの側面があり、その一つにいずれ日本が他国の属国になってしまうのでは無いかという危機を叫ぶ声があります。それは困ります。日本の国体はなんとしても守らなければならないと私も強く思います。でも、そんなことが移民政策だけで起こり得るんでしょうか。アメリカは今まで移民大国でしたが、そんなこと起きてません。例えば中国人はアメリカ各地にチャイナタウンを作り生活圏を形成してアメリカ市民として生きています。決して国を牛耳ってあるわけではありません。この論には少し飛躍を感じます。フェイクニュースや偏った情報だけを伝えるメディアがあり、ミュージシャンが必ずしもファクトに基づく発信をしていないケースも見受けられます。

次に、鎖国や地産地消のような論調を打ち出す傾向もあります。理論上はわからなくも無いんですが、果たしてあなたはそれができますか。海外産バターや小麦粉の入ったスイーツ一切食べない。パスタも食べない。外資の入った店で物を買わない。楽器も日本生産のヤマハしか使わない。本当にそれで生きていけるんでしょうか。ちょっと社会性を欠きすぎてはいないかと思います。政策主張は極端な方が一見パワフル、でも出鱈目では結局破綻する。どこかの国の大統領が見せてくれてます。

裏を返すと、ジャズミュージシャンが、政策にまつわる事実をしっかり調べた上で、自分の考えを、自分が実行できる範囲で勇気をもって発信していく。そういう時代になってくれば日本のジャズの求心力はどんどん上がるんじゃ無いでしょうか。

2025.10.23

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