アメリカという国

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はじめに

2025年から再びトランプ政権になり、何かとアメリカ方面が賑やかになってきました。そうでなくても日本はいつもアメリカを見ていますし、実際、日本はアメリカの経済政治軍事の影響を受けやすいですね。そんな一般的なアメリカ観とは少し違った角度から、私がビジネスやニューヨーク居住を通じて触れたアメリカという国の見方を共有したいと思います。最初に言っておきますが、私はアメリカ合衆国が好きです。アメリカはマーケティングや音楽の大国でもありますので、マーケター、ミュージシャンの皆様の活動の参考になればと願います。

プライオリティが明確

アメリカ合衆国は、プライオリティは徹底的にやる、プライオリティでないことは後回し、または手を抜く、という優劣が明確な国だと思います。それは、建国からわずか250年でここまでの大国に成長してきた過程で自ずと形成されたものなのかも知れません。例えば、ITや金融、軍事などの優先度の高い業界には、資金と人を徹底的に集めます。一方で比較的国優先順位から外れる私が一時期居た化粧品のような業界には資金と人材が手薄です。食文化も、例えばステーキはアメリカ人が命懸けで味を追求しているので他の国では食べられない美味しさですよね。でも、ステーキの他にはアメリカでしか食べられないほど美味いものはありません。強くありたい、金が欲しい、うまい物が好き。本能に正直であるという言い方もできますね。

全てが州単位

United Statesの名の通り、アメリカは50の州の集合体です。日本の都道府県とは州の権限が大きく異なります。州知事、州議会、州法がその州における実質的な権限を持ちます。例えば、運転免許の制度も州で異なりますし、マリファナ、妊娠中絶、そしてTIKTOKに至るまで州によって規制が全く異なります。その背景には、その州のキリスト教の宗派や移民の出身国など、複雑な要素が絡んでいます。また、スポーツでは、メジャーリーグベースボールは、日本から見ると国を挙げてのスポーツに見えますが、アメリカでは、もはやローカルスポーツです。全国区と言えるスポーツはアメフトとバスケットボールのみです。マーケティングにおいては、日本の東京、銀座。表参道のような全国区の発信拠点はありません。もちろんニューヨークは、それに近い存在ではありますが、東京の発信力とは全く違い、実際住んでみるとニューヨークですら巨大なローカルシティだと感じます。著名なジャズミュージシャンもニューヨークだけに住んでいるわけではなく、フロリダやカリフォルニアに住む著名ジャズミュージシャンも少なくありません。

人のダイナミックレンジが広い

アメリカ人の約半数の人は、仮に日本に住んだらちょっと変わってる人、と思われるでしょう。逆に日本人の殆どはアメリカでは、大人しくて何を考えているかわからない人、と思われるでしょう。日本人は皆と同じであろうとするのに対して、アメリカ人はいかに他人と違うかを大切にします。
日本人は皆ほぼ同じ教育を受けて同じものを食べて育っているためか、社会人としての質が均一でばらつきが少ないと思います。会社にいる人、皆、社会人として合格ですよね。アメリカではそうはいきません。まず、人種、宗教、政治色んな要素のバラつきが大きく従って同じ社会人とはいえ日本人な様な均一さはありません。前述した州の独立性の要素も関係しているかも知れません。とにかくダイナミックレンジが広いのです。
言い方を変えると、日本ではお目にかかれないような優秀な人材がたまにいる一方、日本的な視点ではほぼ使えない人材が多くいます。例えば、レストランのウエイターも調子は良いですが。よくオーダー間違えたり、頼んだことを忘れたりします。一方、日本ではコンビニの店員さんが行なっている仕事はとても正確なものですよね。平均点は日本の方が高いでしょう。でも、アメリカのウエイターが何か間違えた時は、ごめんごめんと言って、結構な過剰サービスでお返ししてくれます。なんか、そういうところに人間味が残っているんですよね。アメリカ、憎めません。

プレゼンが上手い国

 ニューヨークで生活するとホームレスが地下鉄で物乞いをするシーンに出会います。驚くのは、彼ら彼女らのスピーチ力です。自分がどんな境遇にあるのか、何故そうなったのか、今何をしたいのか、そのために何が必要かを大きくはっきりとした声で理路整然と説明して客席を回ります。ある意味社会の底辺にいる人ですらこの様なプレゼン力を持っているのです。いわんやトップクラスのビジネスマンをや。そして、ジャズクラブでも演奏上のプレゼンテーションはもちろんのこと、司会者のMCそして、バンドリーダーのトーク、全てがエンタテインメントの一部として機能するレベルです。加えて、アメリカ人は自己肯定感がとても強く、例えばマーケティングにおける結果レポートでもネガティブな要素は出てきません。自分はこういう努力をしたその結果こういう成果が上がった、次はこうしたいというポジティブ一色のレポートになります。これはいい事でもあるのですがその反面、課題が浮き彫りにされずらいと言うリスクもあります。アメリカは隅から隅までプレゼン大国です。

最後に

これらは、私がビジネスを介して接したアメリカ、居住したニューヨークを通じた実体験に基づく所感です。どうしても偏りやバイアスが入っていると思います。ただ、報道で見るアメリカはあまりに単一なトーンで語られがちなので、あえて自分の見方を共有させていただきました。アメリカでの活躍を見据えたマーケターとミュージシャンの自由のために役立てれば幸いです。
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