一番大切なマーケティング・リソースとは?

マーケティング課題

マーケティングの様々なリソース

「マーケティングの一番大切なリソースは何か?」というディスカッションを当時私がCEOをしていたニューヨークのマーケティングチームでしたことがあります。ニューヨーカー達で構成されるそのチームのメンバーからは、
・自社ブランド専用の売り場
・潤沢な予算
・十分な人数の店舗スタッフ
・教育スタッフ
・豊富な調査データ
・早い意思決定
など、様々な声が出ました。そのどれもがそれぞれの持ち場で抱える課題としては正しいものだったと思います。が、私が期待したものズバリではありませんでした。

最も貴重なマーケターの時間

私が最もチームに伝えたかったのは、「あなたたちの時間こそが最も貴重なマーケティング・リソースなんだよ。」いうことでした。これがどんな業界、会社、タイミング、状況にも当てはまるものだとは思いません。が、大抵の場合においては、マーケターが思考する時間こそが、成功の可能性を最大化するために最も有効な源泉、つまりリソースだと信じています。時間だけはお金やものに代え難いものです。

コントローラブルか?

マーケターのリソースについて考える時にもう一つ重要なファクターがあります。それは自分自身がコントラーラブルかどうかです。会社から与えられるリソース、例えば予算や人材はどちらかと言うとコントラールが難しい。もちろん要求を出したり提案したりする事は出来るが最後のコントロールは意思決定者によってなされます。したがってアンコントローラブルなのです。一方、自分の時間は、一見会社によってコントロールされているように見えますが実は最も自分がコントロールしやすいリソースの一つです。もちろんそのためには、自分の時間の貴重さに気付き、それを守ろうとする決意が必要にはなります。つまり、自分の時間を守るためにNoを言う勇気さえあれば、業務時間は100%コントローラブルになるのです。
マーケターの時間は最も貴重かつマーケター自身がコントロールできるリソースなのです。

マーケターの時間で生み出すもの

マーケターが時間を使ってその思考で生み出すべきものは、キャンペーンで目に見えるクリエイティブ、つまりキャッチコピーや画像そのものではない。むしろ目には見えないが、根底にある戦略、つまり成功のシナリオです。これを生み出すには、①インプット、②アイディエーシヨン(発想)、③ディスカッション(異見の取り込み)、④ロジカルシンキング(整理)、⑤ドキュメンテーション(資料化)と、実に多くのプロセスが必要となります。天才的なマーケターはこれらを無意識にさらっとやってしまうが、普通はそうはいきません。時間をかけて丁寧に思考を紡ぐ必要がある。つまり、多大な時間が必要なのです。

課題設定

一方で、企業で働くマーケターで、自分には思考するに十分な時間があると思っている人はいるでしょうか。おそらく殆どのマーケターは、様々な業務に追われ、働き方改革の波の中、このような思考に避ける業務時間は足りないどころか殆ど取れないのが現実ではないでしょうか。
それでは、その現実を踏まえた時に、マーケターはどうすれば良いのか。自分が責任を持つマーケティングキャンペーンを成功に導くための時間の使い方とは?そんな課題を解くヒントを今後の記事で綴っていきたいと思います。
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